ネコ観光に困惑する自治体の意外な本音

ネコ観光に困惑する自治体の意外な本音
※写真はイメージです

 2020年に東京オリンピックを控え全国各地で訪日外国人旅行すなわちインバウンドの誘致が盛んになっています。神社にお寺、食事などなど私たちが普段から見慣れている何気ない風景や体験が外国の方には新鮮に映ることもあって、ご当地の魅力を海外に向かって積極的に発信していますよね。

外国人もビックリ!日本のネコの多さ!!

 さて、そんなインバウンドの仕掛け人でもあるPR会社に訪れたところ「神社にお寺、食事はもちろん、訪日外国人はネコの多さにビックリする」という話を伺いました。

 いわれてみれば、住宅街はもちろんオフィス街のど真ん中の公園や路地でも見かけたり、江ノ島(神奈川県)や田代島(宮城県)、青島(愛媛県)といった“猫島”や谷中銀座(東京都)のような“猫町”と呼ばれる観光スポットの情報がインターネット上にあふれています。

 それならネコで外国人を呼び込めそうですね。ところが自治体のウェブサイトではネコ観光の話題を見たことがない…なぜでしょう?

ネコ観光に積極的でない意外な理由

 匿名を条件に取材に応じた観光関連の公益社団法人の職員は「近年は世界的なエコツーリズムのブームもあって動物と触れ合う観光も注目されている。ネコは愛らしく人にもなつく動物ですので観光に適しているともいえます。しかし猫島や猫町といわれるネコたちはそもそも捨て猫。自治体(市区町村)は、不法に遺棄されたものを観光資源化することはできない」と話す。

 つまり野良ネコの排泄物の問題や観光地でよくある近隣住民と観光客とのトラブルなどが直接の理由ではなく、自治体が不法行為で派生したネコ観光を招致することはないとのことです。

 かつての廃墟ブームも不法侵入にあたるケースがあることから、自治体が観光資源にすることはありませんでしたね。

アメリカではネコが環境問題に

 ナショナルジオグラフィック(http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/092300360/)によると、書籍『Cat Wars(プリンストン大学出版局)』では、環境問題として野良ネコに限らず外を出歩く飼いネコも、鳥をはじめとする野生生物にとって脅威になっているとし、これらの「外ネコ」をあらゆる方法で完全に排除すべきだという意見を主張しています。この意見にネコ保護活動家たちから反発がありました。

 ネコ保護活動家は「アメリカでは野良ネコを減らす方法として、捕獲したのちに去勢手術し放すという活動が長年行われ効果が出ている」と主張する一方で鳥類保護協会や野生生物連盟などの保護団体は「効果のスピードが遅く、捕獲去勢だけでは不十分」と主張しています。

 いずれの団体も野良ネコを減らす方法には意見が分かれるところですが、前述の野生動物の保護やネコは狂犬病やトキソプラズマなどの病気を媒介するため公衆衛生面の観点からも、野良ネコの数を減らすことについては両者に意見の一致があるようです。

近い将来、猫島・猫町はなくなる

 日本においても増えすぎてしまった野良猫の数を抑える方法として、去勢手術し、住民やボランティア等が共同管理することで最終的に飼い主のいないネコをなくす地域猫活動が進んでいます。猫島・猫町もこのケースがほとんどです。

 一般的に飼いネコの寿命は10年程度、野良ネコは5年程度と言われています。仮に猫島・猫町に外部からの新たなネコ流入がなく、全ての野良ネコに去勢手術を実施できたとすると、理屈の上では5年でその地域からネコはいなくなることになります。

 前出の公益社団法人の職員は自身が動物愛護に関しては専門外で個人的な感覚と前置きしつつ「近年問題になってる外来種と異なりネコは身近な動物。自治体がネコを積極的に駆除することは考えにくいが、立場的に猫島や猫町を維持することはできない。排泄物の問題や観光客と地域住民のトラブルは状況に応じて担当部署が動くスタンスだ」と話す。

 1964年の東京オリンピックと東京タワーで昭和の時代を懐かしむように、近い将来2020年の東京オリンピックと猫島・猫町で時代を懐かしむことになるかもしれません。

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