2月のランキングではフルモデルチェンジの影響で販売台数を前月より約4.5倍(438.5%)伸ばし、ランキングの順位を4位に急上昇したスズキ ワゴンRですが、今月は6位にランクダウンし、先月6位だった同社のスズキ スペーシアが今月はスズキ ワゴンRを抜き6位にランクイン。スズキ スペーシアはここ最近、当別仕様車やマイナーチェンジもなされていませんが順位を上げた不思議な現象が起きていますので、今回はランキングとあわせてその予想をしてみました。
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フルモデルチェンジはディーラーへの呼び水
スズキ ワゴンRのようなロングセラーの車種がフルモデルチェンジされて新発売されると、ディーラーへの客足は伸びます。もちろん客の当初のお目当てはフルモデルチェンジされた車です。
内閣府の消費動向調査によると、新車の買い替えは近年では単身世帯で9.0年、2人世帯以上で9.6年で自動車を買い替えているとの調査結果があります。前回自動車を購入した約10年前とはライフスタイルが変化していたり、自動車のラインナップが様変わりしていたりしている場合がほとんどでしょう。フルモデルチェンジした新型車を見にディーラーに足を運んだら、たまたま展示してあったの他車種に興味を引くことは十分ありえます。
軽トールワゴンより背の高い軽スーパーハイトワゴンへの乗り換えか?
しかも今から10年前の2007年当時は、軽トールワゴンのスズキ ワゴンRより背の高い軽スーパーハイトワゴンのスズキ スペーシアはもちろん、その先代モデルのスズキ パレットも2008年からの発売で、スズキ ワゴンRより背の高いスズキの軽自動車はなかったのです。
スズキ ワゴンRは屋根を高く取ることで大きな室内空間を確保した革命的モデルとしてデビューしたこと多くの支持を集めました。そのオーナーが買い替えでスズキ ワゴンRより背の高い、スズキ スペーシアに乗り換えたのかもしれません。
実話:客の心変わりが無視できないレベルになることも!?
フルモデルチェンジしたスズキ ワゴンRとスズキ スペーシアの順位が入れ替わった理由はあくまでも予想ですが、お目当てのクルマ見に行ったにもかかわらず、結果的に違う車種を客が購入する話は意外に多く、場合によってはディーラーにクルマを供給するメーカーやインポーターの泣き笑いもあったりするのです。
筆者が関係者から聞いた話で、特に印象的だったのは2012年にフォルクスワーゲン up!(アップ)の日本初導入時の実話です。
フォルクスワーゲンの「up!(アップ)」を見に行ったつもりが…
2012年にフォルクスワーゲンで最もコンパクトなサイズとなる新スモールカーのup!(アップ)が日本で発売されました。車両価格は149万円よりの設定で、国産車と同じ価格帯でドイツ車が買えるということで注目を集め、up!(アップ)をお目当てに、かなりの客がディーラーに足を運びました。
ところが、このフォルクスワーゲン up!(アップ)は、フォルクスワーゲンの最小モデルでありながらシャシーやボディーなどの基本構造の堅牢さはドイツ車らしく強固なものでしたが、up!(アップ)は欧州での使用方法が日本でいう軽自動車のような最小クラスのAセグメントに分類され、軽量化とコストダウンのために後席の装備を簡略化する欧州では一般的なパッケージ手法が用いられていました。
up!(アップ)の場合、パワーウインドウが前席のみ。後席のリアウィンドウはヒンジ式で上下に開閉できないもので、全席パワーウィンドウが当たり前の日本では装備に不満があったり、試乗をしてみると燃費がよいことで導入されたシングルクラッチ方式のオートマチック・トランスミッションが、発進と停止を繰り返しが多い日本の都市部の道路事情に適さなかったり(※現行モデルは改善されています)することに気づきます。
そこで客は、up!(アップ)より一回り大きく、世界的に有名な同社のゴルフより一回り小さいポロが目に入るのです。
60万円高くとも「ポロ」を選んでしまうその理由
フォルクスワーゲンポロの価格は203万円より。価格はup!(アップ)と比べ60万円ほど高くなりますが、全席パワーウィンドウはもちろん装備に不満はなく、内装は国産のコンパクトカーにはないドイツ車らしい硬質な雰囲気。そして変速機がスポーツカーやハイパフォーマンスカーに導入されているデュアルクラッチ・トランスミッションを採用しているため、試乗では別次元の速い変速スピードの爽快な運転を体験してしまうと、クルマを買う予算感で60万円の価格差は許容範囲に思えてしまい、up!(アップ)を目当てに来店した客が、最終的にポロを購入いくことが、とても多かったそうです。
気になるクルマがあったのなら、一度ディーラーに足を運んでみてはいかがでしょうか。素敵な出会いがあるかもしれません。
軽自動車人気ランキング 2017年3月
1位:ホンダ N-BOX
2017年3月 ホンダ N-BOX 販売台数
今月 | 26,124台 |
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先月 | 19,429台 |
前月比 | 134.5% |
※販売台数に含まれる車種:「ホンダ N-BOX」「ホンダ N-BOX +(プラス)」「N-BOX SLASH(スラッシュ)」
2位:ダイハツ タント
2017年3月 ダイハツ タント 販売台数
今月 | 19,209台 |
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先月 | 15,102台 |
前月比 | 127.2% |
※販売台数に含まれる車種:「ホンダ N-BOX」「ホンダ N-BOX +(プラス)」「N-BOX SLASH(スラッシュ)」
3位:日産 デイズ
2017年3月 日産 デイズ 販売台数
今月 | 18,923台 |
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先月 | 16,093台 |
前月比 | 117.6% |
※販売台数に含まれる車種:「日産 デイズ」「日産 デイズ ルークス」
4位:ダイハツ ムーヴ
2017年3月 ダイハツ ムーヴ 販売台数
今月 | 15,077台 |
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先月 | 11,312台 |
前月比 | 133.3% |
※販売台数に含まれる車種:「ダイハツ タント」「ダイハツ タント カスタム」
5位:スズキ スペーシア
2017年3月 スズキ スペーシア 販売台数
今月 | 15,042台 |
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先月 | 10,925台 |
前月比 | 137.7% |
※販売台数に含まれる車種:「スズキ スペーシア」「スズキ スペーシア カスタム」「スズキ スペーシア カスタム Z」
6位:スズキ ワゴンR
2017年3月 スズキ ワゴンR 販売台数
今月 | 13,949台 |
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先月 | 12,585台 |
前月比 | 110.8% |
※販売台数に含まれる車種:「スズキ ワゴンR」「スズキ ワゴンRスティングレー」
7位:ホンダ N-WGN(Nワゴン)
2017年3月 ホンダ N-WGN(Nワゴン) 販売台数
今月 | 12,403台 |
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先月 | 8,599台 |
前月比 | 144.2% |
※販売台数に含まれる車種:「ホンダ N-WGN(Nワゴン)」のみ
8位:スズキ アルト
2017年3月 スズキ アルト 販売台数
今月 | 12,231台 |
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先月 | 8,043台 |
前月比 | 152.1% |
※販売台数に含まれる車種:「スズキ アルト」「スズキ アルト ターボRS」「スズキ アルト ワークス」
9位:スズキ ハスラー
2017年3月 スズキ ハスラー 販売台数
今月 | 10,240台 |
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先月 | 7,100台 |
前月比 | 144.2% |
※販売台数に含まれる車種:「スズキ ハスラー」のみ
10位:ダイハツ ミラ
2017年3月 ダイハツ ミラ 販売台数
今月 | 7,990台 |
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先月 | 5,788台 |
前月比 | 138.0% |
※販売台数に含まれる車種:「ダイハツ ミラ」「ダイハツ ミラ イース」「ダイハツ ミラ ココア」
11位:ダイハツ キャスト
2017年3月 ダイハツ キャスト 販売台数
今月 | 7,287台 |
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先月 | 5,719台 |
前月比 | 127.4% |
※販売台数に含まれる車種:「ダイハツ キャスト アクティバ」「ダイハツ キャスト スタイル」「ダイハツ キャスト スポーツ」
12位:三菱 eK
2017年3月 三菱 eK 販売台数
今月 | 7,218台 |
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先月 | 3,507台 |
前月比 | 205.8% |
※販売台数に含まれる車種:「三菱 eKワゴン」「三菱 eKカスタム」「三菱 eKスペース」「三菱 eKスペース カスタム」
13位:ダイハツ ウェイク
2017年3月 ダイハツ ウェイク 販売台数
今月 | 3,888台 |
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先月 | 3,030台 |
前月比 | 128.3% |
※販売台数に含まれる車種:「ダイハツ ウェイク」のみ
14位:トヨタ ピクシス
2017年3月 トヨタ ピクシス 販売台数
今月 | 2,256台 |
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先月 | 1,756台 |
前月比 | 128.5% |
※販売台数に含まれる車種:「トヨタ ピクシスジョイ」「トヨタ・ピクシスメガ」「トヨタ・ピクシスエポック」「トヨタ・ピクシススペース」
15位:スズキ エブリイワゴン
2017年3月 スズキ エブリイワゴン 販売台数
今月 | 1,579台 |
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先月 | 1,756台 |
前月比 | 127.6% |
※販売台数に含まれる車種:「トヨタ ピクシスジョイ」「トヨタ・ピクシスメガ」「トヨタ・ピクシスエポック」「トヨタ・ピクシススペース」
備考:ランキングは、(一社)全国軽自動車協会連合会の軽四輪車通称名別新車販売確報より作成しています。統計の都合、同一車名のものは合算して集計しています。